栄養学の基本
 



栄養学の基本
 食事についてお話しする前に、簡単に栄養学の基本をおさらいします。肥満の人
がいるとよく「カロリーの取り過ぎだ」と注意されることがあるでしょう。では一体カ
ロリーとは正確にはどんな概念でしょうか。
   1cal=14.5℃の水1gを1℃上昇させる熱量
1kcalとはこの1000倍の熱量のことをいい、栄養学では、このkcalという単位を
普段は使用します。3大栄養素である糖質、蛋白質、脂質1gがそれぞれ生体内
  で燃焼したときに発生する熱量は糖質4kcal、蛋白質4kcal、脂質9kcalになりま
す。ある食品のエネルギー量を計算するには、その食品の成分を分析して糖質、
蛋白質、脂質の割合を計算し、1gのエネルギーをそれぞれ4、4、9kcalとして算
出します。アルコールは1gが7kcalに換算されます。また、熱量としては計算され
ませんが、ビタミンやミネラル、食物線維(一部エネルギーに換わるものがある)、
食塩も重要な栄養素です。
 
日本人の栄養の現状
 現代は飽食の時代といわれます。長い日本人の歴史の中で、そのほとんどの期
間われわれは、「いかに食べ物を調達するか」ということに追われてきました。した
がって食べ物が余っているという事態は今まで経験のないことです。食物余剰と
  言う事態が、現代の食生活やそれを通じて日本人の健康状態にさまざまな影響を
与えています。
< 図1 >
 図1をご覧ください。これは日本人のエネルギー摂取の栄養素別構成比の経年
変化を示したものです。これを見るとわかるように着実に脂肪の摂取がふえていま
す。蛋白質に関しても以前は多かった植物性の蛋白質(豆類など)に替わって、肉
類など動物性のものが増えています。実際に日本人の血清コレステロール値を測
定すると過去20年間では徐々に上昇しています。(図2)日本人とアメリカ人の比
較において、特に若い年代においては、日本人の方がコレステロールが高いとい
う結果が出ています。
< 図2>
 
日本人の栄養所要量
 皆さんもご存知かも知れませんが、栄養所要量というものが厚生省より示されて
います。栄養所要量とは国民が心身を健全に、発育、発達させ健康の保持、増進
と疾病予防のために標準となるエネルギーおよび栄養素の摂取量を表わしたもの
です。年齢、性別、生活強度により細かく示されており、妊産婦などでは付加栄養
素も明示されています。
 成人病の対象年齢と考えられる30代以降のエネルギーの所要量は、中等度の
生活強度において(一般的な職業人の場合と考えてよい)第5次改訂では表1の
ようになっています。今回の改訂において、とくに配慮された点は
  1. 18〜19歳の脂肪エネルギー比率を従来の25〜30%から20〜25%に
    改めた。
  2. 脂質の質的な面から、脂質を構成する飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、
    多価不飽和脂肪酸の望ましい摂取比率を1:1.5:1とした。また多価不飽
    和脂肪酸の細かい構成比も示された。
  3. 食物線維の目標摂取量を、成人の場合1日20〜25gとした。
  4. 日常の食生活を適正に実践するために、所要量にあった食品構成例が示
    された。
詳しくは「日本人の栄養所要量」をご覧頂くのが良いと思います。そこには過栄養
になっている日本人の食生活を改善するための指針がはっきりと打ち出されてい
ます。
表1 日本人の栄養所要量
年齢 (歳) エネルギー (kcal)
20〜29 2550 2000
30〜39 2500 2000
40〜49 2400 1950
50〜59 2300 1850
60〜64 2100 1750
65〜69 2100 1700
70〜74 1850 1600
75〜79 1800 1500
80〜 1650 1400
(第5次改訂)